東芝「3分割」の本質は「売り食い」:解体を決定づけた故・西室泰三氏が漏らしたこと

執筆者:町田徹 2022年1月5日
スピンオフ案には「もの言う株主」から待ったがかかっている   ©︎新潮社
政府・経産省は2015年の最初の粉飾決算発覚時点から「再建」など望むべくもないと認識していた。昨年11月に鳴り物入りで公表された「3分割」案も、来る株主総会での承認は危ぶまれる。西室泰三氏のM&Aに対する異様な執着が招いた危機から、東芝は今なお出口が見つからない。

「君は不勉強だ」――。

   今から6年以上前の2015年11月20日のこと。筆者は、80歳の誕生日を翌月に控えた車椅子の大物財界人に、いきなり信じられないような大声で怒鳴りつけられた。

   その大物財界人とは、「日本を代表する総合電機メーカー」と称された東芝の黄金期に社長、会長をつとめ、財界活動に励み、東京証券取引所の会長兼社長、郵政民営化委員会の委員長などを歴任した故・西室泰三氏である。

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カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
町田徹(まちだてつ) 1960年大阪生まれ。経済ジャーナリスト、ノンフィクション作家。神戸商科大学(現・兵庫県立大学)卒業後、日本経済新聞社に入社。米ペンシルべニア大学ウォートンスクールに社費留学。雑誌編集者を経て独立。「日興コーディアル証券『封印されたスキャンダル』」(『月刊現代』2006年2月号)で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」大賞を受賞。著書に『電力と震災 東北「復興」電力物語』『行人坂の魔物 みずほ銀行とハゲタカ・ファンドに取り憑いた「呪縛」』などがある。2014年~2020年、株式会社ゆうちょ銀行社外取締役。2019年~、吉本興業株式会社経営アドバイザリー委員。
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