スピンオフ案には「もの言う株主」から待ったがかかっている   ©︎新潮社

「君は不勉強だ」――。

   今から6年以上前の2015年11月20日のこと。筆者は、80歳の誕生日を翌月に控えた車椅子の大物財界人に、いきなり信じられないような大声で怒鳴りつけられた。

   その大物財界人とは、「日本を代表する総合電機メーカー」と称された東芝の黄金期に社長、会長をつとめ、財界活動に励み、東京証券取引所の会長兼社長、郵政民営化委員会の委員長などを歴任した故・西室泰三氏である。

WH「のれん代」で露呈した致命的な誤解

   西室氏は当時、日本郵政社長の座にあり、その子会社・ゆうちょ銀行の社外取締役だった筆者を自室に呼び、挨拶なしに突然、怒鳴り散らしたのだった。

   罵声を聴いていると、その怒りの矛先が、筆者が今も「現代ビジネス」(講談社)というニュースサイトで連載している「ニュースの深層」というコラムに、ほぼ4カ月前の2015年7月21日付で寄稿した「膨らんだ『のれん代』1兆円超、東芝がひた隠す『原発事業の不都合な真実』」にあることはわかったものの、そのコラムのどの部分が「不勉強だ」と批判されているのか要領を得ない。

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