条件的単為生殖は絶滅しつつある種の間でより起こりやすいとする仮説も存在する[2019年7月16日、コスタリカ・タルコレス川](C)REUTERS/Juan Carlos Ulate

 

[メキシコシティ発(ロイター)] ワニが単独で妊娠する単為生殖の初事例が、コスタリカの動物園で確認された。この発見は、6月7日に学術誌「Biology Letters」で発表された。

 動物園で16年間、他のワニから隔離され飼育されていた雌のアメリカワニが、2018年に14個の卵を産んだ。飼育下の爬虫類にとって決して珍しいことではないが、驚くべきは3カ月間の孵卵期間の後、1つの卵から完全な形をしたワニの赤ちゃんが死産の状態で見つかったことだ。研究チームは、ワニの胎児の遺伝子構造を調査した。その結果、DNA 配列から、オスの遺伝子の寄与なしに生殖する「条件的単為生殖」と呼ばれる現象であることが分かった。 

 条件的単為生殖は「処女懐胎」とも呼ばれ、魚類や鳥類、トカゲやヘビにおいて確認されている。研究チームによると、ワニで確認されたのは初めてだ。条件的単為生殖では、メスの卵細胞がオスの精子と受精することなく発生の過程が進む。卵細胞が作られるにあたって、まず前駆体となる細胞が4つの細胞に分裂する。1つは卵細胞となり、重要な細胞構造とゲル状の細胞質を保つ。残りの細胞は遺伝物質を含む。その後、それらの細胞の1つが実質的に精子の役割を果たし、卵と融合して「受精」が行われる。

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