寛容なるうどん諸君

執筆者:阿川佐和子2023年10月7日
「炒めうどん」? 「焼うどん」?(写真はイメージです)

 前回、素麺もとい「天女の白髪」で冷やし中華を作ってみたところの感想を書きそびれた。

 一言で言えば、「アリなんじゃない?」と、若者言葉を使ってニヤリとしたくなる味だった。たしかに中華麺で作る冷やし中華とは趣が違う。食感も違う。でも、悪くない。

 肯定的な思いを抱く要因の一つに、付随する材料がいずれもほぼ同じメンバーだったことが考えられる。キュウリ、ハム、トマト、玉子(錦糸玉子を焼くのが面倒だったので、やや甘味のスクランブルエッグという体であったが)、あとは冷蔵庫の在庫具合によって、長ねぎを加えたり大葉やみょうがや香菜などの薬味野菜を足したりする程度だ。

 前回も書いたが、素麺と冷やし中華の本質的な違いはなんだと考察するに、それはタレの味であろう。出汁に醤油とみりんを入れて作る素麺ダレ(プラス私はゆず酢も加えるが)と異なり、冷やし中華のタレは甘い。この甘味が、はたして素麺と仲良くなれるか。そこがポイントだと思っていた。が、順応性の高い素直な素麺君は、そのハードルも難なくクリアしてくれたのである。

 「これはイケるね!」

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