10月2日付紙面では、金正恩の花輪記事は2面に追いやられ、金徳訓総理(写真)の「現地了解」記事の前に掲載された(『労働新聞』HPより)
 

 10月2日付の第1面は、「朝鮮労働党の百勝の領導史は人民を喚起して世紀的な奇跡をもたらした栄光溢れる行路である」と題する長文論説が飾り、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が金永日(キム・ヨンイル)元朝鮮労働党中央委員会書記の霊前に花輪を送ったとの記事が第2面に追いやられた。金徳訓(キム・ドックン)内閣総理による平安(ピョンアン)道の農業部門に対する「現地了解」の記事より上位にあるとはいえ、最高指導者の動静にかかわる報道が必ずしも最優先されない傾向が散見されるのは興味深い。

 中国杭州で開催された第19回アジア競技大会についても連日報道された。1日付第3面は、「わが国の女子サッカーチームが準決勝競技に進出」と題し、前日の試合で「傀儡チームに4対1という圧倒的な点数差で打ち勝った」と報じた。韓国を「傀儡」とだけ称し、「南朝鮮」との表現を完全に排している。

 この記事のみならず、『労働新聞』からは今夏から「南朝鮮」との表記が完全に消えてしまった。アメリカの手先に成り下がっていると揶揄する「傀儡」という用語は金日成(キム・イルソン)時代から日常的に用いられてきたものの、あくまでも「南朝鮮傀儡逆徒」といった言い回しで「南朝鮮」を付したものであった。

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