ハイチ最大級の武装ギャング集団「G9」の指導者ジミー・シュリジエ(別名バーベキュー=中央)は9月16日、アンリ首相退陣要求デモの先頭に立った (C)EPA=時事

 10月2日、国連安全保障理事会は決議2699を採択し、ハイチへの「多国籍治安支援(Multinational Security Support: MSS)」に国連憲章第7章(「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」)の権限を付与することを決定した。賛成13カ国、中国・ロシアの2カ国が棄権した。安保理では、アメリカの主導で決議の採択プロセスが進められた。9月の国連総会においても、ジョー・バイデン米大統領が演説の中で、MSSの主導国となる意思表明を行ったケニア政府を称賛し、安保理決議の早期採択を促していた。したがって反対票を出さず、圧倒的多数の賛成票を得ての決議の採択は、アメリカとしては重要な外交成果であったと言える。ただしアメリカに比重の高い財政負担がかかる仕組みになっていることは、今後一つの争点になっていく恐れがある。

 MSSは、国連PKO(平和維持活動)ではない。国連憲章第7章の権限を付与された、多国籍ミッションである。MSSを構成するのは、軍隊ではない。警察部隊である。MSSは、近隣国のイニシアチブの成果だと言えるが、主導するのは中南米の国ではない。ケニアである。

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