[「一帯一路」国際協力フォーラムで演説する習近平主席=2023年10月18日、中国・北京の人民大会堂](C)AFP=時事

 中国の秦剛・前外交部長(57)に続き、李尚福国防部長(65)も8月下旬から公の場から忽然と姿を消し、当局の取り調べを受けているもようだ。習近平共産党総書記(国家主席)(70)は、これまで摘発対象を選択し、「反腐敗闘争」で政敵をことごとく打倒してきたが、国務委員(副首相級)を兼務する「対外的な顔」とも言える二人は、習近平自らが引き上げた側近である。

「恐怖政治」で従わせ、上っ面の「忠誠」でつながってきた習近平と側近たち。自分が引き上げた側近が腐敗にまみれ「無能」であることが露呈する中で、党内で自らへの「遠心力」につながることに対する危機感から、側近でも徹底して打倒せざるを得ない状況に追い込まれていることがうかがえる。

「一強」をつくり上げた権力構造に変化をもたらし始めた。

政敵ではなく、自ら引き上げた側近への汚職調査

秦剛氏

 米スタンフォード大学中国経済・制度研究センターの呉国光上級研究員は9月25日、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)に寄稿し、秦剛と李尚福の問題について「習近平は(2022年10月の)第20回共産党大会で既に前例のない形で権力を固め、ほとんど例外なく部下と子分だけのトップチームを結成したにもかかわらず、なぜこのような事態に発展したのか」と問い、こう指摘した。

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