武器供与は単なる武器供与以上の意味を持ち始めている[NATOの航空戦演習「タイガーミート」に参加したF‐16=2023年10月9日、イタリアのジョイア・デル・コッレ空軍基地](C)EPA=時事

 携行式の対戦車砲や対空砲にはじまったNATO諸国によるウクライナへの武器供与は、ついに戦車、長射程のミサイル、そして戦闘機にまでたどり着いた。これらによってロシアによる侵略に抵抗しているわけだが、NATO諸国による支援の一部は、現在続いている戦闘のためよりも、長期的なウクライナ軍再建のためのものになっている。これを短期的支援と長期的支援に区分すれば、後者の比重が徐々に増加している点が注目される。

 そこで以下では、まず、NATO諸国間での駆け引きの第3の事例としての、F-16供与に関する「戦闘機(供与)外交」をみたうえで、長期的な支援において最大のテーマになるNATO(諸国)部隊との相互運用性(interoperability)の向上、さらにはウクライナにおける武器製造を検討する。戦闘機供与はまさに短期と長期の架け橋的存在であり、相互運用性の向上は、将来的なNATO加盟に向けた「下からの」統合とでもいうべき重要な意味を有している。

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