需要低下のサインはアルトマン氏にも見えているはず[2023年10月18日、アメリカ・カリフォルニア州](C)AFP=時事

 感謝祭直前の週末を楽しむ米テック業界関係者を驚愕と二転三転の怒涛の渦に巻き込んだ、生成型人工知能(AI)アシスタントChatGPT開発元のオープンAI(OpenAI)トップ解任劇。

 人類全体に利益をもたらす汎用人工知能(AGI)を普及・発展させる理想に固執する取締役会と、もうかるAIの開発を望むマイクロソフトなど営利目的の出資者の意を体したサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)のイデオロギー的な対立がアルトマン氏の解任につながったとされる。

 テック業界の内情を深堀りすることで知られる米Wired誌によれば、「大企業に対抗すべく設立されたオープンAIが、(アルトマン氏の舵取りにより)その大企業へと変貌しつつあるように見えた」のが遠因だ。

 その背景には、非営利組織のOpenAI, Inc.の営利孫会社であるOpenAI Global, LLC株式の 49%を保有し、130億ドル(約1兆9500億円、以下1ドル=150円で換算)を超える膨大な出資金を提供していたマイクロソフトの意向があった。非営利組織の取締役会が、アルトマン氏がCEOを務めていた営利孫会社の経営を完全掌握する仕組みのため、マイクロソフトは1兆5000億円を投資しても、OpenAI, Global LLCの経営方針に口を挟めなかったからだ。

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