UAE、サウジは途上国の気候変動に桁違いの資金支援も打ち出した[COP28の議長を務めたUAEのジャービル産業・先端技術大臣=2023年12月13日、UAE・ドバイ](C)EPA=時事

 11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれていた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が12月13日に閉幕した。およそ6.5万人が参加した2週間にわたる一大イベントは、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするネットゼロ目標に向け、石油や石炭、天然ガス等の化石燃料からの脱却を進めることで合意した。2021年のCOP26では石炭の段階的削減には言及されていたものの、石油・天然ガスを含む化石燃料からの脱却が合意文書に反映されたのは初のことであり、歴史的な一歩だと評された。

産油国と欧米諸国の対立構図が顕在化

 一方で、COP28はこれまで以上に政治的な紛糾が目立つ会合となった。

 まず、産油国であるUAEで会合が開催されること自体に批判が寄せられた。さらにUAEの石油産業を代表するアブダビ国営石油会社(ADNOC)のCEOであるスルターン・ジャービル産業・先端技術大臣が今年1月にCOP28の議長に任命されると、環境団体を中心に大きな反発が起きた。政治レベルでは米議会と欧州議会の議員133人が、米大統領、欧州委員会委員長、国連事務総長、国連気候変動枠組み条約事務局長宛に連名で書簡を送付し、ジャービルの議長任命を撤回するようUAEに働きかけることを求めた。

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