マイナス金利解除に「動かざる日銀」、内外株式を走らす展開[金融政策決定会合後の記者会見に臨んだ植田日銀総裁=2023年12月19日](C)EPA=時事

 ナポレオン・ボナパルトは1815年2月26日、千名足らずの兵をつれて島流しされていたエルバ島を脱出した。3月1日にはサン-ジョアン湾に上陸した。そこからわずか20日間でパリに駆け上る。道々、農民や労働者が「皇帝万歳」と歓呼して迎えた(「世界史の窓」)。新聞の見出しも「鬼」や「狼」から、「僭主」となり、たちまち「皇帝陛下」に。

 上映中のリドリー・スコット監督の大作『ナポレオン』でも、エルバ島脱出劇が見せ場だから、ふと思うのかもしれない。今年の米経済と米国株の波瀾万丈ぶりは尋常ではない。米連邦準備理事会(FRB)が急ピッチで利上げするなか、米景気後退と株安の見通しが一般的だったはずなのに、実際の景気も株価も正反対の軌跡をたどった。米ブルームバーグは2023年11月28日にこう配信した。

「バンク・オブ・アメリカ(BofA)とBMOキャピタル・マーケッツ、ドイツ銀行のストラテジストは、S&P500種株価指数が来年も上昇し、22年初めに記録した最高値を上回ると予想。ゴールドマン・サックス・グループとソシエテ・ジェネラルはそこまで楽観していないものの、24年末までに株価は若干上昇すると予測し、過去最高値に迫るとみる」

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