米スペースXなど宇宙開発ビジネスでのライバルも初期の失敗は経験した。ここから信頼獲得と受注増のサイクルを回すことが「ものづくり能力」の根幹だ[飛行に失敗した「H3」1号機=2023年3月7日午前、鹿児島・種子島宇宙センター](C)時事

 第2次世界大戦期までアメリカには「軍需産業の巨人」は存在しなかった。参戦当初、兵器の生産を主に担ったのは軍需専業メーカーではなく、それまで民需品を手がけていた大企業だった。「シャーマン」戦車を製造したのは英系プレスド・スチール・カー・カンパニーなどの鉄道車両メーカーであり、軍用自動車「ジープ」を生産したのはウィリス・オーバーランド・モーターズ【旧クライスラー傘下の自動車会社】やフォード。ゼネラル・モーターズ(GM)は「フィッシャーP-75」はじめ戦闘機の製造なども手がけ、ゼネラル・エレクトリック(GE)は軍用航空機向けのエンジンなどを開発・生産。「B-29」など爆撃機を手がけたボーイングも大戦以前は民間航空機部門が主力だった。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が毎年発表する軍需企業の世界ランキング(2022年版)で現在トップ3を占めるロッキード・マーチン(売上高約594億ドル=約8兆8000億円)、RTX【旧レイセオン・テクノロジーズ】(396億ドル)、ノースロップ・グラマン(323億ドル)の米3社はいずれも1990年代半ばに業界再編目的のM&A(合併・買収)で誕生した。

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