本当は恐ろしいかもしれない“かわいいお爺ちゃん”を選んだインドネシア、その複雑な民主主義

Foresight World Watcher's 6Tips

執筆者:フォーサイト編集部2024年2月17日
インドネシア人有権者の過半を占めるのは40歳以下、多くは旧独裁政権時代の流血を知らない[大統領選で当選を確実にしたプラボウォ国防相(左)と副大統領候補のギブラン氏が準備した選挙用AIアバター=ギブラン氏のSNSから](C)時事

 今週もお疲れ様でした。ロシアの反体制派、アレクセイ・ナワリヌイ氏が収監中の刑務所で死亡するというニュースが伝わりました。ロシア大統領選まで1カ月、プーチン政権の残忍さを見ずにはいられない衝撃的な事件です。十数回の実刑判決を受け、暗殺で命を落とす寸前まで追い込まれながらも体制批判を続けたナワリヌイ氏の死に対し、欧米メディアは深い哀悼の意を示しています。

 ただ、ナワリヌイ氏については生前から、パワーを倒すためのパワーを求めて「有害なナショナリズム」に近寄ったとの指摘もあります。「思想家」であるよりも「活動家」であることを選び続けたと言うべきか(ナワリヌイ氏の政治活動は株式投資を通じて企業の腐敗を意識したことで始まります。つまり物言う株主=アクティビストが出発点です)、こうした評価の分かれる部分も含めて米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌は足跡を丹念に辿っています(「Alexei Navalny Wanted to Make Russia a ‘Normal Country’」2月16日付)。

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