2021年夏、フィンランドで開催されたエアショーで空を舞うイタリア空軍のF-35A[2021年8月6日、ヘルシンキ・フィンランド](C)EPA=時事

 日本の航空自衛隊は主力戦闘機としてF-35ライトニングⅡステルス戦闘機を採用し、滑走路を使って離発着を行うF-35A型を105機、噴射口の向きを後方から下方に変え、短距離離陸/発艦および垂直着陸/着艦が可能なF-35B型を42機導入する予定となっている。

 2023年12月現在、F-35戦闘機は、F-35A、F-35B、それに米空母艦載機型であるF-35Cの3タイプを合わせて、980機以上が西側各国の軍隊に引き渡されている。しかし、ステルス性や機体全周状況認識センサー、ネットワーク機能など高度かつセンシティブな性能を誇るF-35戦闘機は、カネを積めば導入できるというものではない。

共同開発国トルコは導入を許されず

 F-35は、米国が主導した開発計画に英国、伊、蘭、豪、ノルウェー、デンマーク、カナダ、トルコが参加して誕生した戦闘機だが、共同開発国として約100機を導入する予定だったトルコは、2019年にNATO(北大西洋条約機構)加盟国の警告にもかかわらずロシア製のS-400地対空ミサイル・システムを購入したことから、F-35の引き渡しを受けられなくなった。その理由について、当時の米政府は、「F-35はロシアの情報収集プラットホームと併用できない」と説明した。つまり、トルコがS-400を運用する場合、そのシステムを維持・管理することになりかねないロシア企業を通じて、F-35の機密要素(S-400のレーダにステルス機であるF-35がどのように映るか等)がロシアに筒抜けになってしまう可能性を危惧したのである。

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