高所得国へと短期間で変貌しつつあるが、沿岸部と内陸部の経済格差も抱えている[2024年2月25日、ガイアナのジョージタウンで開催された第46回カリコム首脳会議の開会式で演説するアリ大統領](C)AFP=時事/CARICOM

 元英領のガイアナはつい5年ほど前まではアメリカ大陸の貧困国の一つに過ぎなかった。カリブの小国が集う地域機構カリブ共同体(カリコム)の独立14カ国の中では、一人当たりGDP(国内総生産)がハイチに次ぐレベルの低さであった。広大な面積と人口を誇るブラジルやスペイン語圏の国々と比べると、同じ南米大陸に位置しつつも存在感の薄い存在であった。

 ところが、2015年にガイアナ沖で大規模油田が発見されたことで状況が一変した。以降米国のエクソンモービルを始め、外国のエネルギー関連企業が次々とガイアナに進出している。関連インフラ・サービスの需要増にも後押しされ、2020年以降2桁台の高成長が続いている。南米の「フロンティア」であるガイアナの急発展への関心は高まっており、ガイアナと近隣の中南米諸国や主要国との関係にも変化が生じている。

貧困国から高所得国へと急速に変貌

 筆者はこれまでに3回ガイアナを訪問したことがある。3回目の訪問となった2016年1月当時の首都ジョージタウンは一国の首都とは思えないほど開発が進んでおらず、国際空港は東南アジアの小都市の空港のような施設であり、市内の排水システムは未整備で、ゴミが溜まった用水路は大雨が降れば溢れるのが一目瞭然であった。ガイアナで三つ星とされるホテルでは、水道管の老朽化により蛇口やシャワーから茶色い水が出ていた。中心部から20分程度車を走らせると辺り一面は畑に変わり、幹線道路から外れた未舗装の道路では牛の群れが我が物顔で闊歩していた。

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