日本との協力に前のめりな米国に対し、英豪は慎重な姿勢とされる[AUKUSの活動についての協議後、会見に臨むアンソニー・アルバニージー豪首相(左)、ジョー・バイデン米大統領(中)、リシ・スナク英首相(右)=2023年3月13日、アメリカ・サンディエゴ](C)REUTERS

 米国、英国、豪州の3カ国による安全保障枠組みであるAUKUSへの日本の「加盟」や「協力」、そしてAUKUSの拡大などがさまざまに議論され、メディアでも話題になっている。AUKUSに日本(Japan)を加えてJAUKUSにするといった議論はその好例だ。しかし、その具体化には多くの障害がある。加盟はおろか協力ですら現段階では難しい。一部の論者がAUKUSの本質や意図を踏まえずに議論することで、実態と認識のギャップが拡大しているのではないか。

 以下では、AUKUSと日本およびそれ以外の諸国との協力に関する現状と課題の検討をつうじて、日本とAUKUSとの関係の方向を探ることにしたい。結論を先取りすれば、分野を絞った限定的な協力が想定されるものの、AUKUS側でも日本側でも準備はまだできておらず、具体的な協力の姿はまだほとんどみえてきていないのが現実である。

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