イスラエルはテロリストと戦っているのではなく、単に占領体制を強化するためにガザでジェノサイドを行っている、という見方が、世界のほとんどの地域で一般的になっている[米ジョージワシントン大学でイスラエルのパレスチナ自治区ガザ攻撃に抗議する学生たち=ワシントン、2024年0月25日](C)時事

 イスラエルとイランが、双方に対する報復攻撃を繰り返した。「第5次中東戦争が始まるのか」、「いや双方が抑制しあっていてそのような様子ではない」といった言説が飛び交った。実際には、お互いに全面戦争をする準備はないので、相手方の防空システムに撃墜されることを計算した範囲の攻撃だ。 

 つまり現時点では、中東全域で拡大戦争が始まる様子ではない。だがそれはイスラエルとイランの対立が、ガザ危機のサイドショーだからだ。両国の間で全面戦争が始まらないことは、事態を楽観視できる理由にはならない。ガザ危機そのものが、世界的規模で巨大な危機になっている。

 中東全域に戦争が起こらなければ、戦争はガザという小さい区域に押し込められたままだ、と考えるのは、間違いだろう。ガザ危機は、すでに国際社会の全体構造を揺るがせる大きな衝撃を放っている。

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