「(三年計画の経営再建策)リバイバルプランを一年前倒しで達成できる見通しだ。成長の準備は整った」――。二月二十六日、日産自動車のカルロス・ゴーン社長は新型小型車「マーチ」の発表会の席で、誇らしげにこう宣言した。 二兆一千億円(九八年度末)の実質有利子負債を抱えて経営危機にあった日産は、九九年三月の仏ルノーとの提携後、ゴーン社長のもとで業績を一気に回復させた。村山工場をはじめとする工場の閉鎖や二万一千人の社員削減、系列企業株式の売却など、大胆なリストラで有利子負債は七千億円に激減。円安の追い風も受けて、二〇〇一年度は連結営業利益ベースで過去最高益を更新する可能性が高い。 今年四月からは今後三年間で世界販売台数の百万台増、連結営業利益率八%、実質有利子負債ゼロを目指す新しい中期計画「日産180」をスタートさせる。絶好調に見える日産だが、それは果たして本物だろうか。V字型の業績回復の背後で、世界の自動車産業を取り巻く環境は急激に変化してきている。「四百万台クラブなんて幻だったのさ」。国内の大手自動車メーカーの幹部はこうつぶやく。 日産が仏ルノーと提携した九九年には、世界の自動車メーカーは「四百万台クラブ」の呪縛に取りつかれていた。「次世代の燃料電池車の開発などには巨額の研究開発費が必要」、「車台(車の基礎部分)の共通化や部品仕入れの一本化でコストを削減する」……。規模のメリットを得るには、年間販売台数四百万台のハードルを越えないと生き残りは難しいという説だ。

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