予測されていたアルジェリアの人質事件
2013年1月22日
イスラム教圏で戦争が起きると、世界各地からイスラム戦士が集結し、そこで武器と戦闘技術を獲得して、母国に持ち帰る。そして再び混乱を引き起こし、国家は破たんする――。
1989年にソ連軍がアフガニスタンから撤退して以後、イスラム原理主義勢力と欧米諸国との間で繰り返されてきたパターンがまた再現され、今度はアルジェリアで日本人技術者が巻き込まれた。
アルジェリアのガス関連施設で起きた凄惨なテロはまさに、過去に再三起きたのと同種の事件であり、予測と防止が可能ではあった。米中央情報局(CIA)などインテリジェンス機関も北アフリカのイスラム原理主義勢力が武器を入手した動きなどを探知していた。
しかし事件を予防できなかったのは、なぜか。
破たん国家となったソマリアとマリ
アフガニスタンでソ連軍相手に約10年間戦ったイスラム戦士は推定10万人を超える。彼らが中東・北アフリカの母国に帰って、騒乱を起こした例はいくつもある。
アルジェリアでは彼らはイスラム救国戦線(FIS)を結成し、91年、治安部隊と衝突、総選挙では8割以上の議席を獲得した。しかし、軍部が非常事態を宣言して、FISを非合法化し、力でねじ伏せた。
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