3年目の被災地ボランティア

執筆者:出井康博2013年8月20日

 東日本大震災から3度目の夏を迎え、被災地の現状を伝える報道はめっきり減った。復興は進んでいるのだろうか。

 震災発生以降、筆者は何度かボランティアとして被災地を訪れ、その体験を本サイトにも寄稿してきた(2011年8月1日「まだまだボランティアが足りない」)。現在も、震災直後のピーク時よりかなり減ったとはいえ、岩手・宮城・福島の被災3県では毎月1万人程度のボランティアが活動を続けている。筆者も8月上旬、2泊3日で再びボランティアとして現地を訪れた。

 

岩手県大槌町のハーブ園

 津波で壊滅したままの沿岸部を抜け、車で内陸へと向かうこと約10分。緑豊かな田園風景が広がる一角に、黄色いビブを身につけた約50人の若者の姿があった。被災地支援のNPOがつくったハーブ園で、草取りや薪割りの作業をしているボランティアたちである。

 太平洋に面して内陸に広がる岩手県大槌町――。住民の1割近い1200人以上が震災で犠牲になった町では、その後も人口減少が続いている。かつては基幹産業だった水産加工業などが復興せず、町を去っていく人が絶えないのだ。そんな町を再建しようと、新たな雇用を生み出す試みが始まっている。ハーブ園もそのひとつだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。