「靖国参拝」「日中衝突」と「米国の決断力」

執筆者:会田弘継2013年12月27日
 このタイミングでなぜ……(C)EPA=時事
このタイミングでなぜ……(C)EPA=時事

 年の瀬もどん詰まりになって、安倍晋三首相はあれだけ自重していた靖国神社参拝に踏み切った。中国・韓国との冷え切った関係がさらに悪化するのは必至だ。アメリカとの関係にも悪影響が出る。なぜ今なのか。中国の横暴な防空識別圏設定をめぐるバイデン副大統領の「二枚舌外交」(後述)への当てつけもあるのか。

 日中関係は一触即発の危機だ。その危機も含め、いま世界情勢をどう総括したらいいのだろうか。そして来年はどんな年になるのだろうか。そんなことを考える時になった。それにうってつけの記事が、12月1日付の英紙『サンデー・テレグラフ』に掲載された。題して「世界はどこまで安全か」。

 イランの核開発は制限され、シリアの化学兵器は除去された。アルカイダ指導部は壊滅状態で、ソマリアとマリもイスラム過激派による支配からなんとか解放され、ソマリア沖の海賊事件も減った。日中の対立は心配だが、欧米市民にとっては「安全保障の帳尻はプラス」と英米政府は成果を誇示するだろう、と同紙の記事は言う。【How safe is our world?, The Sunday Telegraph, Dec. 1

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