対「エボラ出血熱」で最も名を上げた国
2014年10月31日
拡大するエボラ感染がついにアメリカに飛び火したかと思えば、「イスラム国」への渡航を企てていた男がいきなりカナダ議会へ「テロ」攻撃を仕掛ける――。もはや、世界に隔離された安全地帯はない。当たり前だ。開かれて、つながっていてこそ、今日の繁栄に行きついた。だからこそ、今日の難題がある。そんなことを考えさせられたひと月だ。
「平和国家」の堅固な意志
北欧と並んで「平和な国」のイメージの強いカナダ。10月22日。その首都オタワで事件は起きた。男は、戦没者慰霊碑の前で警護の兵士を銃撃し殺害、道路を挟んで向かいの連邦議会議事堂へと駆け込んだ。議会衛視と銃撃戦になり、衛視長が男を射殺した。映像で見ても、射殺にためらいはない。決然としている。
「さらに加害を起こす男を止めた衛視長以下をカナダ国民は当然、称賛する」。カナダの進歩派有力紙『トロント・スター』の翌日の社説はきっぱりとそう書いた。【A dark day at the heart of our democracy, The Toronto Star, Oct. 23】
1970年、ケベック独立派テロに対抗し「戦時措置法」が発令された時でさえ、議事堂は無傷だった。今回は「カナダの民主主義の心臓部が侵略された」。スター紙社説の、テロは絶対許さないという姿勢は明らかだ。
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