安倍首相「70年談話」に向けられた世界の視線

執筆者:会田弘継2015年8月31日

 8月15日がこれほど世界の注目を浴びたのは、最近にないことだった。

 日本の降伏で第2次世界大戦が終結してから70年。この10年で中国は日本を追い抜いて世界第2の経済大国となり、軍事力も伸ばして周辺海域でわがもの顔で振る舞いだした。米国はその間イラク・アフガン戦争の泥沼に足をとられ、加えてリーマン・ショックに激しく揺さぶられ内向きとなった。その中で日本は「失われた20年」から果敢に脱出を試みだし、防衛政策も大きく見直し始めた――。

 これがおしなべて世界の目に映る、先の大戦のアジア戦線での主役らの今日の姿だろう。そのアジアに世界史の主舞台は移りはじめ、そこで日本の安倍晋三首相が微妙な「歴史問題」に触れて戦後70年目に当たっての談話を発表するというのだから、世界のメディアが注目しないわけがない。

 目を引いたのは、いまや世界の知識人が目を通す雑誌の筆頭になった英誌『エコノミスト』8月15日号の堂々6ページにわたる特集「アジアの第2次世界大戦の亡霊」だ。【Asia’s Second-World-War Ghosts, The Economist, Aug. 15th-21th

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