百年前の1916年の5月16日に、サイクス=ピコ協定が結ばれた。シリアやイラクやイスラエル・パレスチナなど、中東の現在の諸国家を形作る基礎となった、当時の列強の英・仏による合意である。これにはロシアやイタリアなども同意しており、それぞれに当時の中東を支配していたオスマン帝国の崩壊後の勢力圏・領土の分け前を互いに約束した。

外交史上最も悪名高い、また人口に膾炙した文書であり、中東を議論する時にしばしば言及される。「イスラーム国」が2014年に台頭したときも当然、この文書を持ち出してその超克を主張した。今年は百年の節目ということで、特に言及が多い。筆者も新潮選書で『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』を書き下ろした。今月25日ごろには書店に出回る予定である。

本日の夜10時からの、NHKBS1の「国際報道2016」では、特集のコーナーでサイクス=ピコ協定を取り上げることになり、私も解説で出演することになった。お時間のある方は見ていただきたい。もしかしたら、まだ出ていない本の見本をお持ち出来るかもしれない。

5月16日を前にして、すでに有力な論者や媒体が論説を出している。今日以降、一層多くの論説が出てくるだろうが、これまでに出ているもので主要なものをいくつか挙げておこう。

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