会見では時折苦渋の表情を浮かべることもあった(C)AFP=時事

 

 日本銀行の金融政策が、ついに株式市場までも蝕み始めている。11月1日の定例会見で、黒田東彦総裁は「(日銀の金融政策は株式市場を)歪めていない」と断言した。しかし、その姿勢に疑問の声が少なくない。

 筆者は、3月15日付の拙稿「『マイナス金利』で崩壊が始まった『国債市場』の危険度」の中で、日銀の金融政策により、国債市場が機能不全に陥っていることを指摘した。

 日銀は“異次元緩和”の究極政策「マイナス金利」導入のため、年間80兆円もの国債を購入している。このため、(1)本来の国債市場の「売買を通じての民間同士の資金流通」という取引はすでに消滅している(2)健全な流動性という機能さえも失った(3)国債市場の財政に対する監視機能も失われた(4)マイナス金利入札では、政府は入札によって国債発行額以上の資金を得ることができるようになり、事実上、財政規律が崩壊している――ことを詳細に説明した。

 その後、日銀は9月21日にこれまでの金融政策に対する総括的な自己検証の内容を公表し、新たに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を発表した。この中で、日銀は今後、資金の供給量ではなく、金利をコントロールするという手法に転換することを明らかにした。その目標金利は、短期金利でマイナス0.1%、長期金利の誘導目標は0%とした。

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