トランプの就任100日計画に中東問題は不在

執筆者:池内恵2016年11月25日

11月21日にトランプ米次期大統領が公開したビデオで、就任直後100日の政策の概要が語られたが、そこには中東政策は含まれなかった。

今回のビデオで挙げられた6項目は、TPP破棄、地球温暖化対策の規制の終了、企業への規制緩和、サイバー攻撃への対処、移民のビザ制度の見直し、だった。

中東政策の優先順位はこれらと比べて高くないことが分かるが、重要性がそれほどではないがゆえに、かえって、これまでとは違う極端な政策転換で「トランプ印」を際立たせるために用いられかねない危険性もあるため、気が抜けない。

中東政策に関して注目されるのは、就任直後、初期段階でイランとの核合意を破棄するかどうかである。

イラン核合意とは、2015年7月14日に最終合意に達し、10月18日に発効(adoption)し、今年1月16日に履行(implmentation)された「イランの核問題に関する最終合意(包括的共同作業計画;JCPOA; Joint Comprehensive Plan of Action)」のことである。

イラン核合意への対処については、オバマ政権の最大の外交遺産の一つとされるがゆえに、その破棄を共和党の各候補が競ってぶち上げてきたが、トランプがどのような立場なのか、それほど明らかではない。トランプ自身の発言と、側近とされる人物の様々な発言があるが、実際に政権で外交・安全保障を担う陣営が判明するまでは判断がつかない。

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