ここのところ環紅海の安全保障環境の変化に着目してこの欄にも記しているが、関連した動きとして、米国の対スーダン経済制裁の緩和も注目すべき動きである。

退任間際のオバマ大統領は、1月13日に対スーダン経済制裁の緩和措置を取った

米国はクリントン政権期の1997年11月に、オサーマ・ビン・ラーディンのアル=カーイダを匿うなど国際テロリズムの支援を大きな理由として、スーダンのバシール政権に対して経済制裁を科した。ブッシュ政権期の2007年5月には今度はダルフール問題をめぐって制裁を加えた。

今回の制裁緩和によっても、1993年以来のスーダンへのテロ支援国家の指定は解除されず、ダルフール問題をめぐる制裁も続く。しかし、1997年以来の対スーダン政策の転換に踏み出したことは確かだろう。

オバマが署名した2つの大統領令では、制裁緩和後半年の時点で再検討し、再び制裁を科すかを次期政権が判断できるようにしている。オバマ政権はその末期に、安保理でイスラエルのヨルダン川西岸入植地拡大の非難決議に拒否権を発動しない、あるいは南スーダン政府への武器禁輸決議を強行するなどといった、トランプ政権には引き継がれなさそうな動きを繰り返したが、対スーダン制裁緩和はトランプ政権でも受け継がれそうだ。

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