就任したばかりのトランプ米大統領が、TPP離脱からメキシコとの国境への壁建設までの、選挙戦中の公約を現実化させる意図を示す大統領令に次々に署名しているが、今度はシリア内戦に関しても、選挙戦中に言及した「安全地帯」の設定を実行する意思を示している。1月25日に米ABCテレビに与えた単独インタビューでトランプは"I'll absolutely do safe zones in Syria for the people"と述べた

ロイターの報道によれば、トランプは近く国防総省と国務省に「安全地帯」を設定するよう命じる見通しだという。

これはトランプが大統領選挙中に強調した「難民受け入れ拒否」のために、シリア内戦の現場に近い場所で難民・避難民を留めおくための政策と解釈できるが、同時に、トルコが提唱してきたシリア北部のトルコ国境地帯への「安全地帯」構想と重なる。

トルコは一貫して、シリア北部への「安全地帯」構想を提起しており、昨年8月22日にシリア北部への地上部隊の侵攻作戦(「ユーフラテスの盾」作戦)を開始し、米国の煮え切らない反応に苛立ちながらトルコ軍と現地の親トルコ勢力によるシリア北部のトルコ国境地帯の制圧・統治を進め、事実上の勢力圏を確保しつつある。1月23・24日にカザフスタン・アスタナでシリア内戦和平会議を共催しアサド政権やそれを支援するロシア・イランと交渉の席についたが、シリア北部の支配領域のアサド政権への返還には否定的である。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。