GCCの分裂はサウジとカタールの断交へ

執筆者:池内恵2017年6月5日

6月5日、とうとうサウジがカタールとの断交踏み切った。アラビア半島のサウジの領土からペルシア湾に突き出した半島であるカタールは、サウジが国境を封鎖すれば陸路の交通・輸送が不可能となり、実質は孤島となってしまう。バハレーンはサウジに追随して断交措置を取って空路と海路を閉じ、UAEやエジプトも断交に加わるという。

先月末に表面化して急激に泥仕合と化していた、カタールと、サウジやUAEなど他のGCC諸国との不和については、昨日経緯と構図を急いでまとめておいた。カタールがサウジなどと揉めるのは珍しくないが、今回は異様、と見て注視していたが、予想を超える速さで事態は進んでいる。

サウジにとってはカタールのイラン接近姿勢が、エジプトにとってはカタールのムスリム同胞団支援が、容認し難かったのだろう。

元来カタールはGCC諸国の中の異端児であり、湾岸産油国の盟主サウジとは事あるごとに摩擦を起こしてきた。1996年設立のアル=ジャジーラの批判的報道姿勢を嫌ってサウジは一時国境を閉じたこともあり、「アラブの春」以後はエジプトやリビアやシリアでのムスリム同胞団系やその他のイスラーム主義系組織へのカタールからの資金・武器供与が、サウジの路線と衝突することがあり、エジプトとサウジが一致してカタールに圧力をかけることの繰り返しであった。

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