国民議会選で「マクロン派」が多数を獲得すれば、国政の「舵取り」も楽に (c)AFP=時事

 

 注目された国民議会(下院)選の第1回投票は昨日(6月11日)、即日開票され、現時点(6月12日正午)の情報では、マクロン大統領率いる新党「共和国前進」が、定数577議席のうち連携する政党分とあわせて450議席前後を獲得し、過半数の289は大きく超えそうな見通しだといいます。ただし、各選挙区で過半数の得票を確定させた候補は少なく、大半の選挙区で議席の確定は18日の決選投票に持ち越された模様です。

強く働く「遠心力」

 前稿の(上)で述べたとおり、フランスの国内は多様です。一般にはパリ中心の中央集権国家と思われており、それは事実なのですが、前述の地域差も大きく、民族的にも、文化的にも同質的ではありません。放っておけばまとまらず、分裂してしまうほど「遠心力」が強い国です。だから、フランス革命で国民国家に生まれ変わった後も現在まで、中央に国家権力という大きな「求心力」を存在させ、互いに相矛盾する多様な志向を、法律や政治によって強引にまとめ上げてきたという歴史があります。つまり、ネイション(民族)が国家を創ったのではなく、国家がネイション(国民)を形成したわけです。ですから、この世に「フランス人」はいても、「フランス民族」なるものは存在しません。

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