6月21日に発表された、サウジの前皇太子(ムハンマド・ビン・ナーイフ)更迭と、息子のムハンマド新皇太子の任命に伴って行われた人事は、ムハンマド新皇太子と同年代の王子を、テロ対策を担当する内務省や総合情報局と、ムハンマド皇太子が父サルマーン国王と共に統治の任に当たる王宮府の要職に、多くを任命するものだった。

この日発布された16本の勅令のうち、今後の皇太子の任命ルールに関する基本法改正第256号英訳)と、昨年9月に実施された公務員の給料削減の完全撤回(第270号英訳)以外は、ほぼ全て、皇太子と同世代の王族や側近の人事に関するものだった。

目玉は、更迭されたムハンマド・ビン・ナーイフ前皇太子に代わって内相に任命されたアブドルアジーズ・ビン・サウード・ビン・ナーイフ・ビン・アブドゥルアジーズ・アール=サウード王子である(「ビン」は「〜の息子」を意味する)。

名前で分かるように、アブドルアジーズ内相の父はサウード東部州知事で、その父はナーイフ元皇太子・内相である。そのさらに父が初代アブドルアジーズ国王であり、第4世代目の王子ということになる。更迭されたムハンマド・ビン・ナーイフ前内相はサウードの弟だが、父から内相ポストを譲り受けていた。後を襲ったアブドルアジーズ新内相はその甥ということになるが、父の弟から内相ポストを奪った、あるいは受け継いだことになる。ムハンマド新皇太子の陣営は、ムハンマド前皇太子の兄弟の息子を抱き込んで、いわば「外堀を埋めた」のだろうか。

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