「ブルドーザーで太平洋を制した」と言われるマッカーサー元帥は、兵站の重要性をよく理解していた (C)時事

 

 前回の「情報」に続いて「兵站」について述べたい。

兵站とは何か

 広辞苑には「兵站:作戦軍のために、後方にあって車両・軍需品の前送・補給・修理、後方連絡線の確保などに任ずる機関」と書いてある。すなわち兵站業務を行う機関を「兵站」というのが正しいのだが、筆者たちはその機関と業務の両者を一体のものとして「兵站」と呼ぶことが多い。英語では「Logistics」と言い、民間会社でも「ロジ」という言葉が結構使われている。

 2003年3月から4月にかけての「正規軍同士のイラク戦争」における「米陸軍のドクトリン」の説明図には、(1)「Shaping Operation」(2)「Decisive Operation」(3)「Sustaining Operation」と書いてあった。

 (1)は本論第17回18回で述べた「騎兵の戦い」であり、(2)は「歩兵の戦い」であり、(3)が本論の「兵站」のことである。

 この「イラクの自由作戦」は、当初の騎兵的運用があまりにも上手く行き、西を行く陸軍と東を行く海兵隊との前進度合に差が出来、また陸軍側の補給線が急激に伸びてしまったため、3月24日から4日間の休憩(足止め)時間が持たれた。米軍はここで新たな力を蓄え、28日からバグダッドに向けての最終攻撃を開始したのであった。正にこれが兵站の実態であり、如何に騎兵と歩兵が活躍しようとも、兵站の追いつけない戦闘は成り立たないということ、それはたとえば、前捌きが上手く腰が強い力士にも、長相撲や連戦になった場合の粘り、スタミナが必要だということを意味している。

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