文在寅大統領(左)とトランプ大統領の米韓首脳会談で、「キルチェーン」が公式に言及された (C)EPA=時事

 

 米国のインテリジェンスについては、その驚異の能力に驚く半面、逆に準備態勢が初歩的な場合もあって、あきれることもある。

 今年7月4日、北朝鮮が初めて発射に成功した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」をめぐるインテリジェンスがいい例だ。

IRBMと判断したお粗末な態勢

 米太平洋軍司令部は「火星14」が日本海に着水して数分後に「中距離弾道ミサイル(IRBM)」との判断を明らかにした。その後米民間科学者や、なぜかレックス・ティラーソン米国務長官まで「ICBM」と発表、韓国国防省は「ICBM級」との見方を示し、米軍のインテリジェンス能力が疑問視された。

 米国防情報局(DIA)は数日前から、発射の兆候をつかんでいた。しかし実は、『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、一定の時間帯に米偵察衛星が北朝鮮の動向を監視できるのは、「北朝鮮全土の3分の1以下」というお粗末な現状にあり、正確に探知できていなかったとみられている。

 こんな状況では、イージス艦に搭載した迎撃ミサイルSM3や、THAAD、PAC3でミサイル防衛態勢は万全か、と疑われる。では、こうした現状をどう打破するのか。

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