インテリジェンス・ナウ

「キルチェーン」で北朝鮮を先制攻撃:米情報機関NGAが画期的な「超小型レーダー衛星」

執筆者:春名幹男 2017年8月22日
エリア: 北米 アジア
文在寅大統領(左)とトランプ大統領の米韓首脳会談で、「キルチェーン」が公式に言及された (C)EPA=時事

 

 米国のインテリジェンスについては、その驚異の能力に驚く半面、逆に準備態勢が初歩的な場合もあって、あきれることもある。

 今年7月4日、北朝鮮が初めて発射に成功した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」をめぐるインテリジェンスがいい例だ。

IRBMと判断したお粗末な態勢

 米太平洋軍司令部は「火星14」が日本海に着水して数分後に「中距離弾道ミサイル(IRBM)」との判断を明らかにした。その後米民間科学者や、なぜかレックス・ティラーソン米国務長官まで「ICBM」と発表、韓国国防省は「ICBM級」との見方を示し、米軍のインテリジェンス能力が疑問視された。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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