習近平国家主席(右)の腹心である王岐山・規律検査委員会書記(左)は勇退(中央は 兪正声・全国政治協商会議主席)(C)AFP=時事

 

 中国では、10月18日から開かれる第19回党大会に向けて、習近平国家主席の「1強」体制が強化されている。私は拙稿で「経済がアキレス腱になる」と指摘したが(「党大会で『1強体制』固める習近平の『思想』と『対日観』」2017年9月5日)、習氏も経済改革を重視する人事を考えざるをえないようだ。

「王岐山」情報の読み違い

 ところが、日本や香港のメディアは習「1強」体制の強化を懸念する見解が多い。と言うのも、習氏の盟友で実力ナンバー2と言われる王岐山・規律検査委員会書記(汚職摘発の責任者)の引退が、習氏の権力をも弱めるといった信憑性の低い憶測が流れているからだ。

 確かに王氏はこれまで多くの政敵をなぎ倒し、最近では重慶市書記・孫政才の「重大な規律違反」による拘束が話題となった。他方、米国逃亡中の郭文貴という政商が、インターネット記事や外国メディアとのインタビューで、王氏ファミリーの米国での隠し財産疑惑を暴露した(『朝日新聞(電子版)』2017年9月21日)。

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