王岐山「引退」でも盤石の「習近平1強」体制に「弱点」あり

執筆者:井尻秀憲 2017年10月10日
エリア: アジア
習近平国家主席(右)の腹心である王岐山・規律検査委員会書記(左)は勇退(中央は 兪正声・全国政治協商会議主席)(C)AFP=時事

 

 中国では、10月18日から開かれる第19回党大会に向けて、習近平国家主席の「1強」体制が強化されている。私は拙稿で「経済がアキレス腱になる」と指摘したが(「党大会で『1強体制』固める習近平の『思想』と『対日観』」2017年9月5日)、習氏も経済改革を重視する人事を考えざるをえないようだ。

「王岐山」情報の読み違い

 ところが、日本や香港のメディアは習「1強」体制の強化を懸念する見解が多い。と言うのも、習氏の盟友で実力ナンバー2と言われる王岐山・規律検査委員会書記(汚職摘発の責任者)の引退が、習氏の権力をも弱めるといった信憑性の低い憶測が流れているからだ。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
井尻秀憲(いじりひでのり) 1951年、福岡県生まれ。東京外国語大学名誉教授。同大学中国語科卒業。同大学大学院を経て、カリフォルニア大学バークレー校政治学部大学院博士課程修了。政治学博士(Ph.D.)。神戸市外国語大学助教授、外務省在北京大使館専門調査員、筑波大学助教授、東京外国語大学教授、同大学大学院教授などを歴任。著書に『アメリカ人の中国観』 (文春新書)、『李登輝の実践哲学―五十時間の対話』(ミネルヴァ書房)、『迫りくる米中衝突の真実』(PHP研究所)、『中国・韓国・北朝鮮でこれから起こる本当のこと』 (扶桑社BOOKS)、『アジアの命運を握る日本』(海竜社)などがある。
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