高井宏章のおカネの教室チャンネルより (5)

史上最高値更新の金はどこまで上がるのか――金投資の最前線 日本貴金属マーケット協会の池水雄一さんに「高井さん」が聞く!

執筆者:高井宏章 2024年6月19日
エリア: アジア 北米
金(ゴールド)の上昇が止まらない。ドル建て価格は一時1トロイオンス2400ドル台に達し、円建て小売価格も1グラム1万3000円台と史上最高値圏が続く。1980年代から金のトレーディングに携わる日本貴金属マーケット協会代表理事の池水雄一氏は、地政学リスクの高まりによる「ドル離れ」がマーケットに地殻変動をもたらしていると説く。米国と対立するロシアや中国だけでなく、グローバルサウス全般で中央銀行の外貨準備を米国債からゴールドにシフトする流れが続く。機関投資家マネーの動向やインフレの影響を含め、金投資の最前線を語ってもらった。 *YouTubeチャンネル「高井宏章のおカネの教室」のライブダイジェストをもとに、主な発言を抜粋・編集してあります。(聞き手、文・構成 高井宏章)

 

常識外れの高騰相場

高井「金の高騰が目覚ましい」

池水「円安も重なって過去では考えられない上昇となっている。かつて最安値だった時期は1グラム900円台の時代もあった。それが今や1万2000円を超えている。トレーダーとなった1986年以降、ゴールドは右肩下がりだった。中央銀行がそろって売りを出し、金利も生まない。なぜ金など持つのか、という世界で、実際のトレードでもショート(空売り)していればまず儲かるというマーケットだった」

高井「やはり平和な時代だった、ということではないか。冷戦が終わり、経済はグレート・モデレーション(大いなる安定)と言われた高成長・低インフレだった」

池水「ゴールドをたくさん持っていた西欧の中央銀行が1980年代、90年代に売りに回った。東西冷戦はなくなり、ドルの金利はざっくり言えば5%あった。ノーリスクで5%取れるのに、金利ももらえない、上がりもしないゴールドを持つ理由がない。そして中央銀行の資金運用担当者が私と同じ世代、『戦争を知らない子供たち』になり、ドライにゴールドよりドルを持っている方がいい、となった」

高井「中央銀行の金保有は金本位制の名残りだ」

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
高井宏章(たかいひろあき) 経済コラムニスト・YouTuber 元日経新聞編集委員(2023年6月に日経を退職)。日経在籍時にはマネーのまなびチャンネルで「教えて高井さん」を担当。「日経ニュースプラス9」のキャスターも務めた。2016〜18年ロンドンに駐在。2018年に「高井浩章」名義で出版した『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』(2024年に新潮文庫化)は10万部超のロングセラーとなっている。他の著書に、『新聞のススメ 1日15分でつくる教養の土台』『漫画版 おカネの教室』『「おカネの教室」ができるまで: 兼業作家のデビュー奮闘記』『ポドモド』など多数。Twitter、noteで経済にとどまらず、書評や教育論など幅広い情報を発信。1972年生まれ、愛知県出身。三姉妹のお父さん。趣味はLEGOとビリヤード。
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