ポイント・アルファ (12)

アミロイドかタウか――アルツハイマー病“次なる新薬”のターゲットは?|伊東大介・慶應義塾大学医学部神経内科特任教授(4)

執筆者:関瑶子 2024年7月26日
タグ: 健康 日本
エリア: アジア
アルツハイマー病では「アミロイド」と「タウ」という2種類のたんぱく質が脳に異常に蓄積される。前者は神経細胞を壊す、後者がたまる“引き金”との説が有力だ。レカネマブはアミロイドを除去するが、タウそのものを除去したり生成を抑える薬の開発も進んでいる。日本は治療薬の開発競争でプレゼンスを確立できるか。(聞き手:関瑶子)

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 長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。慶應義塾大学医学部神経内科特任教授の伊東大介氏に、アルツハイマー病治療薬開発の今後について話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。

イーライリリーの新薬「ドナネマブ」も今年中に承認?

――レカネマブは日本のエーザイと米バイオジェンが共同開発しました。他にアルツハイマー病の新薬を開発している製薬会社はあるのでしょうか。

「米イーライリリーが、レカネマブの競合となるようなドナネマブという薬剤を開発しました」

「米国では、7月2日にFDA(アメリカ食品医薬品局)がドナネマブを承認しました。ドナネマブは、投与間隔が4週間に1回の点滴30分で、レカネマブと比べて患者さんへの負担が少なく済みます。しかし、副作用の頻度はレカネマブの2倍もあり、慎重な選択が必要です。これまでの治験データのみでは、治療効果の違いは一概に比較できません。いずれにせよ、治療の選択肢が増えることは患者さんにとって朗報と言えます」

――日本での承認はいつごろになりそうですか。

「2024年内には、認可されるのではないでしょうか。厚生労働省には、既に承認を求める申請を行っています」

カテゴリ: 医療・サイエンス
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執筆者プロフィール
関瑶子(せきようこ) ライター・ビデオクリエイター 早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。You Tubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。
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