
「とにかく岸田さんと茂木さんの関係が良くない。政治資金規正法で与野党の関係がこじれたのも、結局、党のガバナンスが効いていないからだよ。これまで岸田さんと麻生さん、茂木さんの三人による『三頭政治』で党を動かしてきた。その一角が完全に崩れてしまったわけだ」
と語るのは官邸関係者だ。6月23日に閉幕した通常国会では岸田総理と茂木敏充幹事長の冷え切った関係が国会運営に影を落とした。
実は、この会期中で岸田総理が茂木氏に対し、尋常ならざる怒りを表明した局面があった。24年度予算案について、衆院通過の時期が争点になっていた3月初旬のことである。予算案を年度内に成立させるためには3月2日(土)までに衆院を通過させる必要があり、国対関係者の間でも「異例だが土曜を使って通過させるしかない」と話し合っていたところ、茂木氏がサボタージュを決め込み、翌週3月4日(月)に通過させればいいと明言したのだ。
これに総理が激怒し、茂木氏に衆院通過の前倒しを直接通告している。結局、予算案そのものは2日に通過したものの、
「4日に衆院を通過ということになっていたら、予算の成立が4月にずれ込んでいた可能性もあったという危機的状況だった」(自民党関係者)
次期総裁選に意欲を見せる茂木氏は今国会中、夕方になると早々に党本部から飲み会に出てしまう場面が度々目撃されていた。岸田政権が低迷すればするほど、“ポスト岸田”として自身にチャンスが巡ってくる茂木氏にすれば岸田総理に協力する義理はない。しかし、この予算案の一件で岸田総理は本気で「幹事長交代」を検討し始めた、と自民党の中では囁かれている。

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