これから5年、共産党を指導する新しい政治局常務委員の面々。左から王滬寧、韓正、栗戦書、習近平、李克強、汪洋、趙楽際の各氏 (C)時事

 

 筆者は前稿「共産党大会直前『習近平一強体制』の『閣僚名簿』を予測する」(2017年10月16日)で、10月25日に開催された中国共産党第19期中央委員会第1回全体会議(1中全会)で明らかになった政治局常務委員の顔触れを予想した。この記事の眼目は(1)側近登用人事で党中枢を習近平派で独占(2)ポスト習近平は習近平自身――の2点だったが、見通しに誤りはなかったと思う。明らかになった人事を基に、中国共産党の今後を占いたい。

股肱の臣「栗戦書」と「趙楽際」の登用

 習近平国家主席、李克強首相の留任以外はすべて新顔となった常務委員は、栗戦書党中央弁公庁主任、汪洋副首相、王滬寧党中央政策研究室主任、趙楽際党中央組織部長、韓正上海市党委書記。このうち栗戦書と趙楽際は、習の股肱の臣だ。

 習は20代の頃、河北省での地方勤務(1982~85年)で栗と知り合った。用心深く外様を信用しない習にとって、栗はよほど信用の置ける人間なのだろう。だからこそ日程・健康管理といった、指導者にとっての最高機密を司る党中央弁公庁主任をこれまで任せていたのだ。側近中の側近を習、李克強に次ぐ序列3位に押し込んだのは、習にとって大きな成果といえる。これまで再三指摘してきたように、胡錦濤直系の李首相が実権を奪われて棚上げされていることを考えれば、序列3位の重みは更に増すだろう。

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