
2階級特進の可能性がある陳敏爾重慶市党書記(右)だが、「ポスト習」ではない? (C)EPA=時事
日本と中国の政治体制の一番の違いはと言われれば、私は迷うことなく「法治」か「人治」かという点を挙げる。日本は明治憲法制定以来、アジアで随一の法治の伝統を誇る。一方で中国では人治が罷り通り、役人への袖の下が古代から物を言う。清朝最盛期を築いた乾隆帝の権臣だった和珅は、権勢を失い死を賜った時、国家予算15年分の蓄財があったという。同じ18世紀後半に、汚職の権化のごとくいわれた田沼意次などの比ではない。『ニューヨーク・タイムズ』が、温家宝前首相の一族の不正蓄財が27億ドルに上ると報じたように、現代中国にも、人治に巣食う政治腐敗ははびこり続けている。

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