ワシントンDCとロンドンを駆け足で回る、世界一周の出張から戻ったところである。訪問先・調査の内容はそのまま表に出してはならないものが多いので、ここにはまだ書けないのだが、一つだけ気になったことを記しておこう。それはワシントンDCで覗いてみた北米中東学会(MESA: Middle East Studies Assciation of North America)のプログラムの「薄さ」である。

ワシントンDCは米国の外交政策をめぐる知の「見本市」のようなところで、北米中東学会も3年に一度必ずワシントンDCで大会を行うことになっている。日本から直行便もあることから、ワシントンDCでの開催の年はなるべく都合をつけて北米中東学会の大会の期間中にこの都市に足を運ぶように心がけてきた。そこで新しい研究者や学説の動向を調べる、各出版社がブースを出して並べている最新の研究書をめくってみる(目立つものは全て買ってしまい、トランクいっぱいにして帰る)、合間にドキュメンタリーの上映会を楽しむ、といった具合で、4日間の会期中、朝から晩まで飽きることがない。その合間に学会に集まる知り合いの研究者と旧交を温め、ワシントン界隈の新たな才能に接触していく。

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