外交演説の対中東外交をめぐる部分

執筆者:池内恵2018年1月23日

さきほど「中東の部屋」に掲載した論考で、河野外相の外交演説を取り上げた(「対中東政策が日本外交の6本目の柱に」『フォーサイト』2018年1月22日)が、演説の該当箇所をここに転載しておこう。【外務省ウェブサイトより】

 5つ目として、私は、対中東政策を抜本的に強化していく考えです。
 歴史的経緯に起因するアラブ地域における様々な対立、イスラエルとパレスチナの和平問題、そして原油や天然ガスといったエネルギー資源がもたらす問題が複雑に絡み合い、そこに暴力的過激主義が加わったことにより、中東諸国はそれぞれ大きな問題を抱えることになりました。
 中東の平和と安定は、日本を含む世界の平和や経済の繁栄に直接関わってきます。それ故、私は、日本として、中東諸国との経済関係を強化するにとどまらず、この地域への政治的関与も強化していく考えです。日本は、宗教・宗派や民族的な観点から中立であり、中東地域になんら負の歴史的足跡を残したことはありません。また、中東に影響力のある米国と強固な同盟関係にあります。こうした強みを持つ日本だからこそ果たせる役割があります。
 私は、昨年9月の日アラブ政治対話において、日本の中東への関わり方を示す「河野四箇条」を発表しました。すなわち、「知的・人的貢献」、「人への投資」、「息の長い取組」、「政治的取組の強化」の「四箇条」です。私は、この方針の下、経済面のみならず、中東への政治的関与を強化し、その平和と安定に向け一層の役割を果たしていきます。

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