ついに始まった「メルケル後」思惑含みの激動
2018年2月22日
この数日の間にも、ドイツ政治は目まぐるしく動いている。前稿(2018年2月22日「終焉間近の『メルケル12年』と『メルケル後』」)に続けて論じたい。
アンゲラ・メルケル首相の逆襲が始まった。「メルケル後」に向けての布石である。
2月19日、メルケル首相は、前日突如健康上の理由で辞任を表明したペーター=タウバー・キリスト教民主同盟(CDU)幹事長の後任に、アンネーグレット・クランプ=カレンバウアー・ザールランド州首相を起用する旨明らかにした。メルケル首相の子飼い、「メルケル後継」の最有力候補の登場である。正式には、2月26日の党大会で承認される。
2月7日の社会民主党(SPD)との大連立合意後、CDU党内ではメルケル首相を批判する声が巻き起こった。先の総選挙で20.5%しか得票していない党に譲歩し過ぎだというのである。あるシンクタンクの調査では、連立合意は7割がSPDの主張を取り入れたものという。
中でも批判の対象となったのが、それまでCDUの牙城であり、CDUの重鎮、ヴォルフガング・ショイブレ氏が睨みを利かせて政策全般にわたる監視塔にもなっていた財務相ポストを、SPDに譲り渡したことだった。
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