解任される、土屋了介・神奈川県立病院機構理事長(同機構HPより)
 

 足柄上病院やこども医療センターなど、5つの県立病院を運営する地方独立行政法人「神奈川県立病院機構」が迷走している。過去の経緯は拙文(2018年2月6日「神奈川県のがん医療を壊す黒岩知事の暴走」『プレジデント・オンライン』)をご参照頂きたいが、ここにきて事態はますます悪化した。黒岩祐治神奈川県知事が2月5日、神奈川県立病院機構の土屋了介理事長を解任する、と発表したからだ。この結果、「神奈川県は県庁幹部のやりたい放題の無法地帯」という印象を与えてしまった。

黒岩知事「法律違反」の可能性

 設立主体の地方自治体首長による独法理事長の解任は、史上初である。理事長によほど悪質な贈収賄や破廉恥罪といった犯罪行為があったと考えるだろうが、実はそうではない。

 黒岩知事は土屋理事長を解任した理由として、以下の点を挙げた。年末の機構内での理事長挨拶で、同機構で組織決定していない私見を述べ、さらにそれを外部の人に送ったこと。元職員の不正について、組織決定なしに厚生労働省に告発したこと。そして記者会見を勝手に開いたことだ。加えて、同機構の副理事長らが、理事長解任を知事や神奈川県議会議員に要望したという。

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