医療崩壊 (10)

史上初「神奈川県立病院機構」理事長「解任」を強行した黒岩知事の「暗愚」

執筆者:上昌広 2018年3月5日
タグ: 日本
エリア: アジア
解任される、土屋了介・神奈川県立病院機構理事長(同機構HPより)
 

 足柄上病院やこども医療センターなど、5つの県立病院を運営する地方独立行政法人「神奈川県立病院機構」が迷走している。過去の経緯は拙文(2018年2月6日「神奈川県のがん医療を壊す黒岩知事の暴走」『プレジデント・オンライン』)をご参照頂きたいが、ここにきて事態はますます悪化した。黒岩祐治神奈川県知事が2月5日、神奈川県立病院機構の土屋了介理事長を解任する、と発表したからだ。この結果、「神奈川県は県庁幹部のやりたい放題の無法地帯」という印象を与えてしまった。

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執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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