米中が鎬を削るドローン「スウォーム戦略」

執筆者:小泉悠2018年4月16日
スウォームの運用場面(『YouTube』上に公開された「Air Force 2030 - Call to Action」より)

 

 世界の戦場で飛び回るようになったドローンをロシア軍も活用しつつあることは前回紹介した(2018年4月9日「実は遅れているロシアの『ドローン』戦略」)。だが、ロシアがドローンを活用するならば、ロシアの仮想敵もまたドローンを戦場に投入してくる可能性が高い。

 実際、シリアでは反体制派武装勢力による中国製ドローンからの小型爆弾の投下や、爆弾ごと目標に突っ込む「カミカゼ」攻撃が度々確認されている。2016年から2017年にかけてはイラクでも、モスル奪還を目指すクルド人部隊に対して「IS(イスラム国)」が同様の攻撃を行ったとの報道がある。

 ならば、ロシアはどのような対ドローン作戦をとっているのか。

ドローンが砲兵観測

 2017年12月31日、ロシア空軍主力が展開するシリア西部のフメイミム基地が反体制派による迫撃砲とロケット砲の攻撃を受け、少なくとも2名が戦死し、航空機若干が被害を受けるという事態が発生した。のちの報道によると、この時、ドローンが基地周辺を飛行していたという。おそらくは武装勢力が遠距離から攻撃を行うためにドローンを砲兵観測に用い、基地の様子を観察させたのだろう。

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