サイバーウォー・クレムリン (12)

実は遅れているロシアの「ドローン」戦略

執筆者:小泉悠 2018年4月9日
米空軍の大型無人偵察機「RQ-4 グローバルホーク」(C)時事

 

 白黒画像の中心にある十字に黒い影が突っ込んできたかと思うと、大爆発が起こる――。

 湾岸戦争以来、ニュースなどで頻繁に流れる映像である。湾岸戦争の頃は目標誘導機を搭載した照準ポッドが主だったが、最近では目標付近でドローンが待機しており、命中したかどうかの確認を行うことも多くなった。

 これに限らず、現代の戦争ではドローンが欠かせない存在になっている。人命を危険にさらさず、長時間の空中待機も可能であるなど、有人航空機にはないメリットが多数あるためだ。有人航空機が戦場から姿を消すことはないにせよ、ドローンの役割は今後も増加し続けるだろう。

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執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
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