サイバーウォー・クレムリン (26)

「世界イチのゲーム」に登場した「検閲されないバーチャル図書館」の実力(下)

執筆者:小泉悠 2020年7月6日
エリア: ヨーロッパ
図書館内の中央ドーム(国境なき記者団提供)

 

 本連載の前稿『上』(2020年3月25日)では、国際NGO「国境なき記者団」がMinecraft(マインクラフト)というオンラインゲーム内に作った「検閲を受けない図書館」について紹介した。検閲の厳しい国で公開できなくなったコンテンツを仮想世界で公開しようという試みである。

 そこで今回はその「蔵書」を覗いてみようというわけだが、本論に入る前に、若干の背景情報を整理しておきたい。

ロシア初の規制対象となった『Grani.ru』

「図書館」のロシアホールに収蔵されている2つの記事は、どちらも、2000年に創立されたインターネットメディア『Grani.ru』に掲載されたものである。

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執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
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