サイバーウォー・クレムリン (22)

​「対ロ情報戦」の最前線「NATOサイバー拠点」訪問記(上)

執筆者:小泉悠 2018年12月28日
エリア: ヨーロッパ
「NATOストラトコムCOE」で開かれたセミナーの様子(筆者撮影)

 

 今から27年前の1991年12月25日、ソビエト社会主義共和国連邦はその生涯を終え、15の独立国家に解体された。そのうち最大の領域を受け継ぎ、法的にもソ連の後継国家とされたのが、筆者の専門とするロシア連邦である。

 では残る14カ国とロシアとの関係はどうなったのかと言えば、これは一様ではない。例えばカザフスタンやベラルーシのようにロシアと緊密な関係を維持している国々もあれば、バルト3国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)のようにEU(欧州連合)やNATO(北大西洋条約機構)に加盟して「西側」になってしまった国々もある。あるいはロシアとの関係を維持しつつも、時にはモスクワのコントロール下に置かれないという独自路線の国々(例えばアゼルバイジャンやウズベキスタン)も見られる。

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執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
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